■濱村 希 2005年3月卒業(長崎県立佐 世保南高校出身)
アメリカ Tufts University美術館学芸員専門課程在籍中
今年の1月下旬から、ボストン美術館(Museum of Fine Arts in Boston)のアジアンアートセクション(Art of Asia, Oceania and Africa)でインターンとして貯蔵作品の一部である浮世絵コレクションをデジタル化するプロジェクト、JPADP (The Japanese Print Access and Documentation Project)に携わっています。
ボストン美術館に貯蔵されている数万枚もの浮世絵の画像を特殊なスキャナで読み込み、それらをTMS(The Museum System)と呼ばれるデータベースに保存していくこのプロジェクトは、2005年1月に約2年間を見込んで始まり、美術館のスタッフだけでなく数多くのボランティアやインターンによって着々と進められてきました。今回私が携わっているのは、TMSの操作と実物の浮世絵を取り扱う作業です。
TMSにデータを取り入れる際には英語能力だけでなく日本語能力も必要とされます。主な情報は英語でタイプしていきますが、題名を入力する時は日本語も使用します。時には画像から情報を読み取ってTMSに入力する事もあり、その例として浮世絵師の名前、彫り氏の名前、改印などが挙げられます。改印とは浮世絵上に見られる江戸町奉行の検閲の証で、その浮世絵が発行された年月を読み取る事ができる印の事です。デジタル化された画像にある浮世絵師などの名前や改印を読んでその作品がいつ、誰によって発行されたものなのかを特定するのも私の仕事の一つです。
浮世絵を取り扱う作業は、手をよく洗い、乾かすことから始まります。これまでに、同じ浮世絵師の作品をジャンルごと(歌舞伎絵、美人画、風景画など)に分ける、箱ごとに分けられた作品の番号をダブルチェックする、浮世絵の縦横の長さを測って記録に残す、などの作業を行いました。浮世絵を取り扱う上で最も気を遣うのは持ち上げ方です。約200年前の紙なので所々破れやすくなっていて、その状態を悪化させないようにしなければなりません。また、状態の良い作品であっても持ち上げ方によっては皺や折り目をつけてしまうことがあるので、細心の注意が必要なのです。本で見た事のあるような有名な作品を取り扱う時には特に緊張しますが、とてもいい経験が出来ていると思います。
インターンをやっていなければできないような経験ができるのも大きな魅力です。浮世絵の保存室にはWilliam S. and John T. Spaulding Collection(ウィリアムS., ジョン T. スパウルディングコレクション)とよばれるコレクションがあり、数百枚に及ぶ作品が貯蔵されています。これらの作品は寄贈者の希望により一般公開される事がないので普段は目にすることができません。先日、幸運にもその一部を拝見する機会があり、その際に大学の美術史教授の方々が、写楽の浮世絵に使用されている雲母(うんも)等の材料が、刷られた時期によって異なることなどを話し合われているのを耳にしました。このように専門家の意見や考察を聞くことが出来るのもインターンシップならではの利点だと思います。
これまで約1ヶ月間でこれほど素晴らしい経験ができているのですから、後残り数ヶ月間でも、できるだけより多くの知識と経験を得るために頑張ります。
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